はじめに
ゲーム開発の現状レポートへようこそ
ゲーム開発の現状に関する調査結果をご覧いただき、ありがとうございます。
今年はゲーム開発業界で働く500人以上のプロフェッショナルにアンケートを実施しました。未来のゲーム開発について、2020年の新型コロナウイルス感染症の影響や、AR/VRや5Gを推進するテクノロジーの進歩などのインサイトをお聞きしました。
さらに、資金調達から開発設計時の効果的な連携に至るまで、現在直面している大きな課題についても尋ねました。
最後に、ゲーム業界での働き方や次のヒットゲームの作り方についてのインサイトも共有していただきました。
ゲーム開発チームの皆様がこのレポートの情報をもとに、適切なツールやプロセスを導入して今後のゲーム開発に今すぐ備えていただけることを願っています。
アンケートにご協力いただいた皆様に感謝を申し上げます。
Brad Hart(ブラッド・ハート)
Perforce、CTO(最高技術責任者)
主な要点
- 新型コロナウイルス感染症は、ゲームスタジオが直面する課題の解決を難しくしています。
- AR/VR、eスポーツ、5Gの急激な成長がゲーム開発のイノベーションを推進しています。
- 資金調達の課題が、クラウドソーシングによる小規模スタジオの新しい波を生み出しています。
- 在宅勤務が、チームのコミュニケーションや連携を助けるプロセスやツールを洗練されたものにしています。
ゲーム開発の動向、課題、将来の展望については、続きをお読みください。

2020年代におけるゲーム開発の展望
ゲーム開発業界は急速な進化を遂げています。2020年代にはそれが継続すると考えられています。
私たちはゲーム開発のプロフェッショナルを対象に、未来のゲーム開発について、そしてそれが2020年代のゲーム開発に及ぼすインパクトや変化について尋ねました。ここでは、そこから得られた示唆に富む情報をご紹介します。
ゲーム開発にもたらされる最大のインパクト
今回アンケートの対象としたゲーム開発プロフェッショナルからは、ディスラプターとして唯一際立つトレンドを特定できませんでした。むしろ、様々なトレンドが未来のゲーム開発を形作っていくと考えている人が多いようです。
前代未聞の新型コロナウイルス感染症
2020年初めに始まった新型コロナウイルスの感染拡大が今後のゲーム開発に影響を及ぼすだろうと考えている人は、アンケート対象者の7割にのぼりました。
ゲーム開発チームの在宅勤務者数は、2020年を通じてさらに増加しました。働き方はリモートのチームから、リモートの個人へと変わりました。
現在、ゲーム開発は新型コロナウイルスによる影響を受けており、今後も受けると予想されますが、ゲーム開発チームではすでにリモート環境で連携して作業ができる環境が整っています。新型コロナウイルスの感染拡大が将来のゲーム開発業界に影響を及ぼすだろう回答した人の67%は、仕事の進め方にまで影響が及ぶとは考えていません。
関連ブログ: How to Enable Collaborative Game Development For Remote Teams(リモートチームがゲーム開発を連携して行うための環境作り)
AR/VRの登場
アンケート対象となったゲーム開発プロフェッショナルの61%が、2020年代にはAR/VRがゲーム開発にインパクトをもたらすと回答しています。
AR/VRはここ数年間で浸透しつつあります。そして、AR/VRはゲーム開発における重要な注目分野の1つです。2020年代にはAR/VRが席巻すると予想されています。
没入型の体験がスタンダードになるでしょう。8Kの解像度が登場し、Unreal Engine 5(UE5)がテクノロジーの進歩を牽引します。そしてAR/VRはもはや個別のカテゴリーではなくなり、ゲーム開発では当たり前の機能になるでしょう。
成長を続けるeスポーツ
アンケート対象者の61%が、eスポーツは2020年代も引き続き成長し、ゲーム開発にインパクトをもたらすと回答しています。
eスポーツとオンライン対戦型ゲームは、2022年までに180万ドル産業になると予想されています。これは新型コロナウイルス感染症の影響も一つの要因になります。
モバイルゲーム開発に対する5Gのインパクト
アンケート対象者の53%は5Gの通信速度の向上により、処理できるピクセル数やポリゴン数が増加し、ゲーム開発にプラスの影響が及ぶと回答しています。
5Gのパフォーマンスとスピードには期待が高まっており、ゲーム開発業界では多くの人が5Gがイノベーションを推進すると考えています。特に5Gにより画像や映像の高解像度の処理が可能になるため、高精細グラフィックスを使用したフォトリアリズムへの志向が強まることが考えられます。5Gはモバイル以来のゲームチェンジャーとなるでしょう。
成長が最も期待されるプラットフォーム
アンケート対象者となったゲーム開発プロフェッショナルの42%は、2020年代に最も成長が期待されるのはストリーミング方式であると回答しています。

ストリーミング方式は2019年から2020年にかけて99%増加しましたが、新型コロナウイルスの感染拡大によりステイホームが求められ、テレビゲームで遊ぶ人が増えたことがその要因と考えられます。新型コロナウイルスの感染拡大以前も、ストリーミング方式は2025年までに19%成長することが見込まれていました。
SteamやStadiaなどのプラットフォームで駆動するストリーミング方式により、ゲーム開発者には大きな機会が開かれています。
成長が見込まれるその他のプラットフォームは以下のとおりです。
- モバイル方式(33%)。
- コンソール方式(17%)。
- その他、AR/VR、クロスプラットフォームなど(8%)。
主な回答
「私たちは、ゲーム開発業界の次のスタンダードになるのは、クロスプラットフォーム方式だと考えています。私たち開発者はユーザーとの対話を妨げるプラットフォームの障壁を乗り越える必要があります。あらゆるツールやリソースをもってすれば、できないことはありません」
ゲーム開発スタジオが進化する方向性
ゲーム開発のプロフェッショナルに、特に以下の点でスタジオがどのように進化するかを予想してもらいました。
- ゲーム開発で連携性が強化される
- ゲーム開発で多様性の尊重が強化される
連携性を改善する方法
アンケート対象者からは、2020年代にゲーム開発で連携を図る方法について示唆に富む情報をいただきました。最も多かったのは、地域や時間帯をまたいで連携する(63%)という回答でした。場所に関係なく連携して働くことは、ゲーム開発業界のリモートチームやベンダーにとってよりいっそう重要な鍵となっています。
連携性を強化する他の方法は次のとおりです。
- より多くのファイルやアセットをチーム間で共有・再利用する(47%)。
- パートナーシップを拡大する(45%)。
- 小規模のチームが大手配信プラットフォームを活用するように、価値の高いコードを提供する(42%)。

主な回答
「得意分野の違う複数のスタジオが一つのチームとなって、同じゲームを開発している」
「少人数のチームで働く」
多様性をよりいっそう尊重しながらゲーム開発を進める方法
私たちは、2020年代に多様性をよりいっそう尊重しながらゲーム開発を進めるための手段についても情報を集めました。1位はワークライフバランスの改善(68%)でした。
その他の上位の回答は以下のとおりです。
- アクセシビリティ機能の改善(54%)。
- ゲーム開発における表現を広げ多様性を高める(51%)。

主な回答
「ゲーム開発におけるLGBTの長い歴史を祝う」
「大卒以外の人もゲーム開発の業界に入りやすくする」
未来のゲーム開発はこうなる
ゲーム開発のプロフェッショナルに、2020年代のゲーム開発の行方を占ってもらいました。
主な予想は以下のとおりです。
UE5がゲームチェンジャーになる
「UE5がリリースされると、ゲーム開発者の働き方は100%変わる」 — 匿名
「Unreal Engine 5のような新しいゲームエンジンの登場により、ゲーム開発のパイプラインが大きくシフトし、新世代のコンソールに向けた移行の一年になると思います」 — Nazzareno Giannelli(ナザレノ・ジャンネリ)
AR/VRが席巻する
「2020年代にはVRとARゲームが急成長すると思います。価格の低下とともにVRやARが普及し、テクノロジーへのアクセスが容易になっていくでしょう。ゲームによってテクノロジーがさらに進化し、かつてない没入感とイノベーションを目にすることでしょう。さらに、大規模RPGのような最高ランクのタイトルがVRで利用できるようになり、様々なVRプラットフォームにおいて多数のゲーマーが活躍すると思います」 — Matthew Dalton(マシュー・ダルトン)
「AppleがARメガネをリリースすれば、ARの世界では何らかのブレークスルーが起きるだろう」 — Made Indrayana(メイド・インドラヤナ)
「現実世界に近いコミュニティや体験を生み出すゲーム(AmazonのNew Worldなど)やVR/AR体験が有望。コロナ後の世界では人間の社会的存在が改めて認識され、そこにマーケットが開かれていくだろう」 — Javier Toral Conde(ハビエル・トーラル・コンデ)
アクセシビリティの重要性が高まる
「多数のツールへのアクセスが開かれ、技術面に強くない人でも創造性を自由に発揮できるようになると思います」 — Andy Cowe(アンディ・カウ)
ゲーム開発業界で多様性の尊重がよりいっそう強化される
「スタジオはよりいっそう多様化し、分散され、多様性が尊重されるようになると思います。技術革新が進むにつれてインディーズと最高ランクのゲーム格差が広がるでしょう」 — 匿名
リモートワークが続く
「ゲームスタジオの多くはリモートワークに移行し、快適な新しい生活様式にも慣れてきたので、コロナ後もリモートワークのままになると思います。2020年にはリモートワークやコミュニケーションツールが増加し、大幅な改善も見られました。たとえば、GoogleではGmail製品に電話会議を導入しています」— LudicMind Entertainment、CEO、Ed Rowlett-Barbu(エド・ローレットバーブ)
「リモートワークは今後も続くと思われるため、チームは最も効率的な連携に適した技術スタックを見極める必要があるだろう」 — Jacob Hawley(ジェイコブ・ホーリー)
資金調達が難しくなる
「Steamなどの配信プラットフォームやKickstarterのような資金調達方法により、多数のインディーズ開発者がマーケットを創造的に破壊するゲームを開発するようになると思います」 — Shirley Xu(シャーリー・シュー)
「コロナの影響でおうち時間が増えているため、多くの企業の四半期収益が増加する見込みです。予想以上の収益を上げた小さなスタジオは、もっと大きなプロジェクトに着手できるようになるでしょう」 — 匿名
「予算の少ないインディーズチームには、多くのすばらしい機会が開かれています。新しいツールや大企業からの提供を含め、予算の範囲内で十分な資金供給があれば、小規模なインディーズチームでも輝き、強豪にのし上がることができるでしょう。2020年はゲーム開発にとって大きな年になりました。特にUE5の正式発表は、インディーズチームを含め、ゲーム開発の品質に新しい基準をもたらしました」 — 匿名
ゲーム開発における最大の課題
私たちはゲーム開発のプロフェッショナルに、プロセスにおける最大の課題を尋ねました。全体的に、資金調達が最も一般的な課題となっています(33%)。ただし、連携性(22%)、開発期間(19%)、イノベーション(18%)の点で苦労していると回答した人も多くいました。

今日のゲーム開発スタジオに最も影響を及ぼしている課題とは
今日、ゲーム開発スタジオでは、多数の課題に直面しています。新しいものはほとんどありません。ユーザーに豊かな体験を提供する点でチームが連携して働き、生産性と品質のバランスを取る必要があります。これらの課題は大きくなる一方です。
チームは今、これらの課題にどのように対処しているのでしょうか。
第一の課題: チームやプロジェクトへの資金が限られている
資金調達を課題として回答した人の33%が、リソースの確保に手を焼いています。また、スポンサーを募る方法や場所がわからないと回答した人は41%にのぼります。

プロデューサーや大手スタジオは、十分に練られた具体的なアイデアに投資したいと考えていますが、プロジェクトの予算は足りていません。市場調査、人材のスカウト、ロードマップの作成には時間とお金がかかります。アンケート対象者に資金調達の方法を訊いたところ、大多数は創業者から調達した(34%)、あるいはまったく資金を調達していない(30%)という回答が得られました。

チームは通常、製品をリリースすることで報酬を得ており、アイデアに対しては報酬を得られません。そして、チームメンバーは自分たちがやりたいプロジェクトの資金を稼ぐため、いくつか他のゲームを開発することが多いようです。新型コロナウイルスの感染拡大により、新しいプロジェクトの資金調達が阻害され、多くがソーシャルファンディングやクラウドファンディングの選択肢に目を向けています。
関連ブログ: ゲーム開発の資金調達のためのヒント
主な回答
「現在アルファ版を開発中でデモの完成が近づいており、これからスポンサーを探す予定です。今は、延べ払い方式で開発を行っています」
「コロナの影響で有償プロジェクトがキャンセルになったので、失った時間を取り戻さなければなりません」
「私たちは資金調達の初回ラウンド向けに準備を進めています。今のところ、ロードマップや戦略の策定、市場調査は済みました」
「今後の開発資金は、資金調達やクラウドファンディングではなく、売上金でまかなおうと考えている。小さなゲームを開発して得た利益を、大きなゲームの開発資金に充当する予定」
第二の課題: リモートチームメンバーとの連携
ゲームの開発では、大量の大型アセットが必要になります。アンケート対象者のうち、31%はスタジオ間で大型ファイルを移動するのに苦労していました。WAN接続に負担がかかると、フィードバックやファイルの待機時間が増えることになります。
ゲーム開発ではアセットの再利用も必要とされます。46%の回答者は効率的にファイルを見つけて再利用するのに苦労しており、二度手間や検索に時間を浪費しています。

その他を選択した21%の回答者は、さらに課題を抱えていました。連携については次のような課題が挙げられています。
- 大規模なコードベースの管理と安定化が困難。
- 新型コロナウイルス感染拡大によるテクノロジーへの影響が、リモートコミュニケーションに及んでいる。
- 専門分野間で調整する必要がある。
コミュニケーションが上手く取れないことや、ファイルを待つ時間が開発スピードに悪影響を及ぼします。連携の課題は常に存在しているとはいえ、スタジオではリモートチームのメンバーのつながりを維持するために新しいプロセスを開発する必要があります。高性能なツールやドキュメンテーションを整備することで、コミュニケーションを活発化できます。多くのチームでは、リモートで働く開発者のために、クラウド方式のオプションを検討しています。
主な回答
「パートタイムで仕事をしている開発者に連絡したり、連携を保つことに困難を感じている」
「ワークフローの自動化による効率化やわかりやすいドキュメンテーションが必要」
「複数拠点のサーバーやクラウドでの分散開発を目指してインフラを構築し、製品を調査している」
第三の課題: イノベーションにかける時間が足りない
ゲームをヒットさせる鍵は、イノベーションです。アンケート対象者の42%が、人手や知識の不足を訴えています。さらに53%の人が、時間が足りないと回答しています。

新しいチームメンバーは、スタジオのプロセスやツールに慣れる必要がありますが、ほとんどのチームでは情報を口頭で伝達しています。こうしたトレーニングに時間をかけることで、イノベーションの時間が削られてしまいます。
このような場合はドキュメンテーションが役立ちます。チーム内の知識を活用してセルフサービス型のリソースを用意し、特に遠隔地にいるチームメンバーもアクセスできるようにすれば、イノベーションのための時間を拡充することができます。
主な回答
「プロセスの効率を上げることで、ユーザーがより多くのものにアクセスできるようになります」
「経験豊富な開発者からより多くの情報を得るために、ワークフローの最適化を試みている」
「新しいチームメンバーのオンボーディングを向上させるため、ツールとプロセスを改善している」
第四の課題: 開発期間の短縮
ゲーム開発ほど競争の激しい業界は多くありません。市場は常に変化しています。チームは常に新しいゲームを今すぐ開発しなければならないというプレッシャーを背負っています。
開発期間が課題であると回答した54%の人は、開発スピードのさらなる短縮化に苦労しています。一方、42%の人はチームメンバーや知識の不足が問題であると回答しています。

ゲームの開発が予定通りに進むことはほとんどありません。チームは予定を変更するたびに、タイミング、品質、予算のバランスを図り直す必要があります。また、ゲーム開発のチーム管理には困難が伴います。
期日通りに納品するために開発スピードを上げるには、ツールやプロセスの見直しや改善の必要があります。そうすることにより、スタジオは計画を調整し、効率化できます。プロジェクトのチームメンバーが足りない場合は、追加のリソースを割り当てます。スタジオでの仕事の進め方を見直し、特定のチームやプロジェクトに合わせてワークフローを調整できます。
主な回答
「競争が非常に激しく、今すぐに何かを作らなければいけないというプレッシャーがある」
「ベストプラクティスを活用してスクラム開発やアジャイル開発を導入し、開発者とスタッフにベストプラクティスのトレーニングを行う予定」
「制作ワークフローを常に改善し、継続的なインテグレーションを最大限に活用して反復時間を改善している」
「専門分野間での連携を促進し、パートナーと対面する時間を多く費やして問題を管理している」
その他の課題
その他を最大の課題として選択した8%の中には様々な回答がありました。
それらのアンケート対象者が挙げた最大の課題は以下のとおりです。
- 複雑な制作プロセスについての指導。
- 品質の維持。
- 新しい開発者の育成(経験や技術力)。
- 新しいテクノロジーや統合についての学習。
仕事の進め方: 成功をもたらすツールやプロセス
適切なツールとプロセスを選択すれば、チームは課題を乗り越えることができます。アンケート対象者にツールやプロセスなど現在の仕事の進め方について訊きました。
仕事の連携はどのように図っているか
ゲーム開発ではプロセスが重要です。アンケート対象者からの回答は以下のとおりです。
開発手法
チームは様々な開発手法でゲームを開発しています。どのチームにも応用できる万能な手法は存在しません。
アンケート対象者の大多数がアジャイル手法を選択しており(54%)、アジャイル手法のバリエーションとなるスクラム(38%)やかんばん(24%)も活用されています。アンケート対象者の29%は複数の手法を組み合わせていました。ウォーターフォール開発のみを使用していると答えた人は少数派でした(14%)。

プログラミング言語
ゲームの開発では様々なプログラミング言語が使われています。アンケート対象者に、どの言語を使用しているか尋ねました。
圧倒的に多かったのはC++(70%)とC#(54%)でした。特に他に類を見ないパフォーマンスとコントロール性の高さからC++がゲーム開発に活用されています。PCやXboxを中心としたゲーム開発市場ではMicrosoftのツールに優位性があるため、C#が人気です。
他に、モバイルゲーム開発ではJava(20%)やSwift(7%)などの言語が使われることが多いとはいえ、C++やC#に比べると依然として普及率は低いままです。

チームの規模
アンケート対象者の大多数はコラボレーションを必要としています。特に連携が重要なのは、コード型アセットとコード以外のアセットの開発です。複数の開発者、デザイナー、アーティストがこれらのアセットにアクセスできるようにする必要があります。
コード型アセットやコード以外のアセットにアクセスする必要がある開発者や他のチームメンバーの規模には幅があることが観察されています。


ほとんどが少人数のチームで仕事をしています。ただし、チームが小さいからといってニーズも小さいとは限りません。小さいチームでも大きな課題に直面します。そして、チームが小さいままでいる期間も長くはありません。
チームを大きくすることは、多数のゲーム開発チームにとって課題となっており、様々な面がチームに影響を及ぼします。
アンケート対象者の大多数が、次のような面で影響を受けたと回答しています。
- 取引先/開発者/チーム(68%)。
- リポジトリー/リポジトリーのサイズ(42%)。
- 通信速度/トラフィック(34%)。
チーム拡大のこれらの面により、課題がますます難解になり、プロジェクトに参加する人数が増えれば増えるほど、プロジェクトはますます複雑になります。個人がゲームを開発しながら、他の開発者と連携する必要があるからです。同時に、ゲームアセットのリポジトリーが増大すれば、ファイルへのアクセスや、必要なフィードバックを得るまでの待機時間が長くなり、チームの動きが鈍る可能性があります。
開発の複雑さ
アンケート対象者の中でも、開発の様々なレベルの複雑さに対応しています。開発の複雑さは、以下の要素に応じて異なります。
- ユーザー数。
- プロジェクト数。
- ブランチ数。

アンケート対象者の大多数(78%)は現在、複雑性の低い開発を行っていると回答しました。つまり、数百名規模のユーザーやプロジェクトの開発を、2つほどのブランチでまかなっているということです。この規模であれば、複雑性が中程度(14%)や高い(8%)ものより簡単に管理ができますが、
そうしたプロジェクトがよりいっそう複雑になる可能性もあります。
チームやプロジェクトが拡大すればするほど、大勢の人が連携して多数のアセットを必要とします。ブランチ、ユーザー、プロジェクト、アセットなど、すべてを可視化することが重要です。
効果的に仕事を進めるには、チームに適したツールが必要です。
どのツールを使用しているか
成功には数種類のゲーム開発ツールの使用が不可欠です。アンケート対象者に、ゲーム開発やデザインに使用しているツールを尋ねました。回答は以下のとおりです。
ゲームエンジン
Unreal Engine(45%)とUnity(33%)は、依然として最も人気のあるゲームエンジンでしたが、独自のゲームエンジンを(10%)を使用しているチームもありました。
また、開発作業にUnrealやUnityなど複数のゲームエンジンを使用していると回答した人も多くいました。

プロジェクトのゲームエンジンの選定には、調査が必要になります。それはプロジェクトの範囲や人数、アセットの量、利用可能なリソースに大きく依存します。
統合開発環境(IDE)
ゲーム開発者は多くの作業を統合開発環境で行っています。大多数のゲーム開発者が選んでいる統合開発環境はMicrosoft Visual Studio(72%)です。
Visual Studioはゲーム開発の業界基準であり、開発者が普段使用しているツールとの緊密な統合が提供されています。
Visual Studioが統合開発環境として好まれる理由の一つは、ゲーム開発者がコードを簡単に編集してデバッグできることです。IntelliSenseなどの機能の活用により、数回のクリックでタイプミスや関数のパラメーターを再編集できます。
グラフィックスツール
アンケート対象者の中で最も人気のあるグラフィックツールは、PhotoShop(74%)、Blender(54%)、Maya(49%)でした。ただし、様々なグラフィックツールを組み合わせて活用している様子も見受けられます。
適切なグラフィックツールの選択が重要です。選択の一つのポイントは、グラフィックツールが他のツールセット、特にバージョン管理と統合されているかどうかを調べることです。
バージョン管理
ゲーム開発においてバージョン管理の使用は、フリーの開発者や、小規模、大規模なチームのいずれにとっても重要です。コード型のアセットとコード以外のアセットを使った作業で、開発者、デザイナー、アーティストの連携が可能になります。また、適切なバージョン管理は、チームが複雑さと規模の拡大に関する課題に取り組む際にも役立ちます。
アンケート対象者の大多数はバージョン管理にPerforce Helix Coreを使用しています。Helix Coreが多数のチームに選ばれているのは、規模の拡大の課題をユニークな方法で解決できるからです。

Helix Coreは、デザイナー、エンジニア、開発者間の連携を強化します。チームはコード、デザインファイル、成果物など、すべてのデジタルアセットを信頼できる唯一のデータソースとして一元管理できます。
すべてのファイルタイプについて確実なバージョン管理を行い、大規模なチームにも対応し、毎日数万件のトランザクションもすばやく処理できます。Helix Coreはクラウドに実装することも、オンプレミスで実装することもでき、世界中に複製できます。
関連ウェビナー: How AAA Studios Build Faster with AWS & Perforce(最大手スタジオがAWSとPerforceを使って開発スピードを向上させている方法)
アーティストやデザイナーは3DS Max、Maya、Photoshop、Windows File ExplorerなどのOSやグラフィックツールと統合できるという理由でHelix Coreを選択しています。開発者はUnityやUnrealなどのゲームエンジンやVisual StudioなどのIDEとの統合を歓迎しています。
Helix CoreはHelix4Git経由でGitとも連動します。
Helix Coreは、最大手ゲーム開発スタジオ20社のうち19社に利用されています。あらゆるゲーム開発スタジオが最大5ユーザーと20ワークスペースまで無料で利用できます。
プロジェクトのバックログ
チームのバックログ管理で役立つ多くのツールが市販されています。アンケート対象者はほとんどがTrello(40%)とJira(40%)を利用していました。その他のツールにはShotgun(3%)、Asana(5%)、MS Project(6%)が含まれています。
アンケート対象者からの回答は以下のとおりです。
- バックログツールは使用していない
- 紙のチェックリスト
- HacknPlan
- Wiki/Confluence
- Googleドキュメント

小規模なチームの場合は、Wiki、Confluenceページ、共有ドキュメントなどが効果的です。ただし、プロジェクトの規模が大きくなればなるほど、バックログは増えていきます。チームでのゲーム開発には、開発作業を総合的に管理し、進捗に影響する前に課題にピンポイントで対応できるツールが必要です。
多くのプロジェクトバックログツールでは、進捗が停滞中の項目をフィルタリングできます。依頼や修正が増える中で、優先度の高い項目を見失わないことが重要です。
関連ブログ: 6 Tips For a Lean Backlog(バックログを簡素に保つ6つのヒント)
Hansoftはプロジェクトバックログを統合するプロジェクト管理ツールです。高品質のゲームを制作するために、アーティスト、開発者、QA、プロデューサー、経営幹部など、あらゆるユーザーに必要な情報を提供しています。チームは簡単にスコープを絞り込み、優先順位をつけ、見積もることができます。
Hansoftは、属性やワークフローの絶え間ない変更に対処するよう独自に設計されており、スクラム、ガント、かんばん、ウォーターフォールなどの開発手法で活用できます。チームは手法をうまく組み合わせて、自分に合った方法を見つけることができ、仕事の進め方にかかわらず、バックログは整理された状態で保たれます。
関連電子書籍: Discover How 5 Leading Studios Master Game Production(大手スタジオ5社のゲーム制作方法)
Hansoftのダッシュボード機能を使うと、チームはプロジェクトの展開に合わせてレポートをカスタマイズすることも、表示・共有もできます。アナリティクスを追跡して共有する機能は、開発を進め、問題が発生する前に障壁を特定するのに役立ちます。
ゲーム開発者による、ゲーム開発者のために作られた唯一のアジャイルバックログ管理ツールを入手しましょう。
テストケース管理と課題追跡
テストケース管理と課題追跡では、多数のチームがJiraを利用しています(課題追跡は45%、テストケース管理は36%)。ただし、アンケート対象者からは様々なツールが挙げられました。

課題追跡ツールやテストケース管理ツールを選択する際は、統合について検討することが重要です。アンケート対象者の中には、Helix ALMのユーザーも含まれていました。Helix ALMはテストケースやバグ管理に活用できます。Helix ALMはJiraと統合して、テストケースをJiraの課題にリンクさせることもできます。
Helix ALMとJiraはいずれもHelix Coreに統合できます。
まとめ: 2020年代に最高のゲームを作るための要素
ゲーム開発業界は常に変化しています。2020年代のゲーム開発は、新型コロナウイルス、AR/VR、eスポーツ、5Gからの影響が予想されます。その結果、ゲーム開発チームは、資金調達、連携性、イノベーション、納期遵守など、大きな課題に直面することになるでしょう。
とはいえ、ゲーム開発において変わらないこともいくつかあります。一つ確実に言えるのは、チームの成功には適切なツールとプロセスが必要ということです。これらのツールは、ゲーム開発のペースに合わせて進化させる必要があります。
Perforceのゲーム開発ツール(Helix CoreおよびHansoft)を活用することは、明日の課題を乗り越えようとするゲーム開発チームにとって賢い選択となります。
独立スタジオパックをダウンロードすれば、あらゆる規模のゲーム開発スタジオが最大5人のユーザーまでHansoftとHelix Coreを無料で利用できます。
アンケート対象者
私たちは2020年の春から夏にかけて、ゲーム開発に携わる500人以上のプロフェッショナルを対象にアンケート調査を実施しました。大小様々な企業の開発者(45%)、デザイナー(10%)、アーティスト(7%)、テスター(2%)、プロデューサー(5%)、ディレクター(10%)に話を聞き、1年未満から10年以上の経験を有するプロフェッショナルから回答を得ました。これらの開発者は、カジュアルなゲームからシリアスなゲームまで、シングルプラットフォーム(33%)とマルチプラットフォーム(51%)で制作しています。VRゲームを制作している開発者も含まれています。また、eスポーツ関連も対象としました。